ジャパン フォーカス:サントリーの値上げ、キリンのビールと糖質ゼロ製品のイノベーション計画、パンデミック後の水産物の価格、政府の取り組み

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©Getty Images

今回の「Japan Focus」では、国内酪農部門の活性化と自給率向上に向けた日本政府の取り組み、サントリーの今後の値上げ、キリンのビールと糖質ゼロ製品のイノベーション計画、パンデミックが水産物の価格に与える影響について取り上げます。

チーズウィズ:日本政府、国産品奨励策を発表

日本政府は、国産チーズに対する消費者の需要を高めるため、酪農業界とブランドに対する財政的奨励策を発表した。

この事業は、約22億円の予算が予算が必要とされ、チーズ製品に加工される生乳の販売を拡大するための取り組みに対して、農家から生乳の出荷を集める酪農生産者グループに補助金を出すというものである。

これにより、無駄を省き、国内酪農産業の持続可能性を向上させることが期待されている。

サントリー値上げ: 飲料大手、アルコール値上げによる「大きな影響」は問題なしとみる

サントリーは、2024年4月からの値上げを踏まえ、自社製品の「若干の需要変動」を見込んでいるが、売上への大きな影響は見込んでいない。

値上げの対象となるのは、国産プレミアムウイスキー5ブランドの19品目と、ウイスキー、リキュール、ワインの19ブランド98品目。

サントリーはFoodNavigator-Asia誌の取材に対し、穀物や原料、輸送費など原材料の高騰による製造コストやFOB価格の上昇により、「現行価格を維持することが難しくなった」と述べている。

新型コロナウイルス感染症と日本の水産物価格:新たな分析が、将来のパンデミックにおける市場の安定化に役立つ可能性

最近発表された研究で、バングラデシュ農業大学と埼玉大学の研究者は、COVID-19パンデミックが2020年から2022年にかけて東京豊洲卸売市場における高級魚介類と安価な魚介類の価格にどのような影響を与えたかを分析した。

調査結果は、レストランと密接に関連している高級魚介類市場が移動制限中に課題に直面したことを示唆しており、将来のパンデミック時に価格を安定させ、高級魚介類の利害関係者を支援するための政策措置の必要性を強調している。

「積極策」:キリン、利益低迷の中、ビールと糖質オフ製品の革新計画の概要を発表

キリンホールディングスは、コスト上昇に対抗し、変化する消費者の需要を取り込むため、ビールと糖質ゼロのイノベーションにおいて「積極的な施策」を実施する計画の概要を発表した。

同社の2023年度第3四半期決算は、売上高が前年同期比6.2%増の15.5億円、標準化営業利益が同4.7%増の1,415億円となった。

しかし、同時に税引前利益は前年同期比30.3%減の1,424億円となり、コスト上昇の影響を依然大きく受けていることを示した。

「唯一の自給穀物」:日本は最新のフードセキュリティー策への取り組みとして、米粉イノベーションの拡大に資源を投入

日本政府は、より多くの食品イノベーションに米粉の使用を拡大するプロジェクトに8億円(対策全体では238億円)を投入する予定である。

日本の食料安全保障の弱さと自給率の低さは、COVID-19パンデミックの際に注目された。2023年の地方自治体のデータによると、日本の米の自給率はわずか15%、乳製品は26%、牛肉は9%である。

日本の農林水産省は、「米は、日本が長期的に自給できる唯一の穀物であるため、米粉の利用を拡大するために生産から流通、消費に至るサプライチェーンのあらゆる部分における取り組みを集中的に支援している」と正式な声明を発表した。