内需の落ち込み:日本の養殖戦略は輸出と生産性の拡大に重点を置いたものに更新

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日本政府は、国内需要の減少が続くことを認識した上で、水産物の輸出を拡大し、貝類や藻類などの一部の分野の生産性を高めることに重点を置き、水産業の国家戦略を見直している。

世界有数の水産物消費国であった日本は、ここ数年、水産物の需要が減少の一途をたどっており、農林水産省所管の水産庁 (JFA)も、この状況が改善される見込みがないことを確認している。 

JFAは、最新の「養殖業成長産業化総合戦略」を発表し、「日本は常に水産物の大きな市場であるが、少子高齢化の進展に伴い、長期的には国内需要が減少していく」と述べている。

「日本の養殖業が成熟し停滞していた過去20年間に、世界の養殖生産量は約4倍に増加し、今後も成長が見込まれている」

「そのため水産物の輸出を増やすことが必要であり、また、日本の養殖物は国際市場で大きな可能性を秘めている」

この分野での政府の主要な計画の一つは、輸出用の水産物を生産する地域に関連するインフラの確立と改善のための投資を優先的に行うことである。

JFAは、「日本国内で主に輸出用の水産物を生産している地域をリストアップし、これらの地域を適切な輸出生産地域にするために、必要な施設の整備を優先的に支援してゆく」と述べている。

「水産養殖については、まずブリ、マダイ、ホタテ、真珠の4つを重点的に取り組み、特にタイは重要な輸出先となる」

「この戦略の中でもう一つ注目しているのは、海外への輸出障壁を減らすことである。例えば、日本のブリの人気が高まっている米国では、未承認の動物用医薬品の使用などの問題や、TTI(温度記録ロガー)の装着が義務付けら、コスト面での負担が大きいことなどが輸出を制限している。日本の輸入水産物に対する両問題の緩和について、米国当局と協力していきたいと考えている」

また、日本の新しい養殖推進戦略では、海外市場での日本の水産物の需要を高めるために、政府機関である日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)によるマーケティングやプロモーション活動が重視されている。

「現在、JFOODOが力を入れている海外市場は、米国のブリ、香港・台湾のマダイ・ハマチ、EU・東南アジア全般などで、日本の養殖製品の需要拡大を目指している」

政府のデータによると、日本では約28種類の水産物(魚、貝、藻類)が養殖によって生産されており、全体の総売上高は約5,060億円(4.6億米ドル)に達している。

生産性向上

日本の養殖業では、タンパク質源として人気が高い魚類が中心となっているが、政府は、貝類や藻類の養殖、すなわち「無給餌養殖」にも力を入れることを選択している。これは、この分野の潜在能力は高いが、生産性を制限する要因が複数あるためである。

JFAは、「無給餌養殖では、給餌のための人手は必要ないが、牡蠣の殻むきや海藻・昆布の乾燥など、その他の部分で高いコストがかかっている。また、貝類や藻類の生産性は、栄養分の濃度や水温など、周囲の環境に大きく左右される」と述べている。

「例えば、瀬戸内海では、下水処理技術が大幅に向上したが、そのために貝や藻類の栄養分が不足し、生産性に影響を与えていることが近年指摘されており、より効果的な栄養供給技術の開発が進められている」