国内に目を向ける:COVID-19が日本の消費者と食品企業に国内産品の優先順位を高めさせた - 政府白書

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日本の消費者や食品企業は、COVID-19の流行を受けて、国内産の食品や食材に対する評価を高め、多くの人が「地元を応援しよう」と考えているが、政府のデータによると、克服すべき複数の課題が残っている。

日本の農林水産省はこのほど、「令和2年度 食料・農業・農村白書」の中で、「新型コロナウイルス感染症による影響と対応」に関する特集を組み、パンデミックが消費者と食品・飲料事業者の双方を、いかに国産志向に向かわせたかを浮き彫りにした。

農林水産省は報告書に、「⾷料、農産物需要をめぐる新たな動きの一つとして、国産の食品や食材を支持する声が高まっている」と記している。

調査によると、消費者の1割が、販路を失った国内生産者・事業者から商品を購入する「応援消費」を行うと回答し、食品業界の3割が国内生産者との取引を増やす意向を示している。

「その多くは消費者の志向によるものとなっている。 食品事業者は、消費者の約50%が国産品を購入し、国内生産者を応援したいと考えていることに呼応した。」

同省のデータによると、国産志向の主な理由は消費者のニーズの高まり:49.8%、次いでブランドへの付加価値・差別化の提供:40.4%、食の安全性の確保:35.1%、原材料の調達先の多様化によるリスクヘッジ:35%、国産品の持続的発展への貢献:32.5%となっている。

また、ロシアをはじめとする主要生産国がパンデミックを受けて穀物の輸出制限を行ったことにより、食材の輸入不足もこの変化の理由の一つと考えられている。

ロシア穀物連合の声明によると、同国は当初、2020年から2021年のシーズンに5,100万トンの穀物を輸出する予定であったが、国内の食料価格を規制して下げるための高額な輸出税導入により歯止めがかけられる。

「世界では、ロシアなどの穀物輸出国を含む19カ国が、COVID-19の蔓延を理由に輸出制限を実施しています。我が国は、このような輸出制限の抑制を提案するなど、国家の食料安全保障への影響を回避するための国際協調推進することを目指しています。」

一方で、パンデミック前に国内の食品事業者が国産志向ではなかった理由も明らかとなった- 白書には、国産食材のみを使用したり、国産品のみを購入したりすることの難しさが指摘されている。

国内生産者との取引における課題のトップは、高い、相場が不安定:68.5%。次いで、定量確保が困難:32.1%)、通年の取引が難しい:28.4%、物流上の問題:26.2%の順となっている。

食品事業者や消費者が国産品をサポートするためには、国産志向の意思がまだ強いうちに、政府がこれらの大きな課題を解消するか、少なくとも改善することに注力することがより重要になるだろう。

例えば、27都道府県の郷土料理を紹介、国産食材を使った栄養価目標値の設定など、文化的・教育的な方法で消費者意識を変えていきたいと考えているようである。

海外における保護

白書では、日本の輸出と海外の知的財産権保護の向上にも重点が置かれており、農水省は、日本の2030年の食品輸出ビジョンにおいて、最近設立された輸出・国際局の役割を強調している。

「日本の農林⽔産物・⾷品の輸出拡⼤実⾏戦略 は、3つのアクションプランとして実施される。第1に、日本の強みを最大限に発揮できる品目の特定とその輸出目標の設定、第2に、輸出を支えるビジネスへの投資と物流の構築、第3に、HACCP施設の構築やIP流出防止対策の強化などの輸出障害の克服である」と記載されている。

「後者では、地域固有の特徴的な製品の名称を知的財産として保護する地理的表示(GI)制度と、家畜遺伝資源の不正流通を防止するための規制の改正という2つの施策が実施されている。」

これら施策の他にも、シャインマスカットや信濃りんごなど、日本の高付加価値農産物の知的財産権保護を強化する法案が過日成立している。