1866年に創業した名古屋の桂新堂は、海老のすり身、小麦、大豆を使ったせんべいや、海老の姿焼きで知られている。
通常、すり身を作る際には海老の身だけを使い、頭は捨ててしまう。
しかし今、桂新堂はこれらの捨てられるエビの廃棄物を付加価値のある製品に変えたいと考えている。
同じく名古屋のカレーうどん店「若鯱屋」と名古屋国際中学校・高等学校の生徒たちと一緒に、まだ食べられるのに廃棄物として処理されることが多いうどんの切れ端と、えびの頭を使って、スパイシーなカレー味のえびせんべいを開発した。
材料を合わせ、カレー粉を加えて風味をつけ、鉄板でせんべいを焼く。
「お客様に喜んでいただける美味しいお菓子を作ること、そして食品ロスや廃棄物を減らし、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の実現に貢献することがプロジェクトの使命でした」と桂新堂株式会社の専務取締役であるYuji Mitsuda氏。
「若鯱屋の副社長であるMasahiro Takahashiさんと私は、名古屋青年会議所という団体で一緒に活動しており、そこでのSDGs関連のプロジェクトがきっかけで、新商品の開発に協力することになりました」とFoodNavigator-Asia誌に語った。
日本の食品廃棄問題
日本では、年間約2,531万トンの食品ロス・廃棄物が発生している。
消費者庁の報告書によると、このうち食べられると思われるものは約600万トンもある。
Mitsuda氏は、「最近、食品廃棄物の削減を呼びかけるテレビコマーシャルが流れていますが、この問題に対する一般の人々の意識は高まっていると思います」と述べている。
日本では、食品ロスや廃棄物を減らすために、賞味期限の近い菓子やスナックを割引価格で販売することが一般的に行われている。
しかし、それだけでは持続可能な解決策にはならないとMitsuda氏は言う。
「日本では割引価格で販売するのが一般的ですが、私たちは通常は廃棄される食材を使い、おいしいおせんべいにして、割引なしの価格で販売しています。」
「美味しいおせんべいを食べながら、食品ロスや廃棄物の問題を通してSDGsについて考える機会を提供できればと思います」と付け加えた。
同社の他の製品が通常半年から1年で開発されるのに対し、サステナブルえびせんべいは2年の研究開発期間を要した。
また、将来的には、工場での食品ロスや廃棄物の発生をなくしたいと考えている。
販売
名古屋国際中学校・高等学校の生徒たちは、商品のパッケージデザインや販売促進計画のアイデアを提供し、発売後は商品のPRを行った。
桂新堂や若鯱屋のオンラインショップや小売店、全国の空港や駅などで販売されている。
また、同社は輸出についても前向きな考えを持っている。
昨年は、ハラル対応したえびせんも開発している。
一般的な海老せんべいの調味料にはアルコールが含まれているが、桂新堂ではイスラム教徒のお客にも楽しんでもらえるよう、アルコールを含まないせんべいを開発した。
オーストラリアのSeeweedery社は、廃棄されるエビの殻を料理用エビ油に加工したり、海藻から作った酢を開発している。