キリン グリーンズフリーは、ネルソンソーヴィンホップを使用し、人工的な香料や甘味料を加えていないノンアルコールビール(0.00%)。
昨年4月に日本で初めて発売されて以来、2020年12月時点で2,300万缶(350mL)以上を販売、4,000万缶の販売を今年(2021年1月~12月)の目標としている。
昨年、中国でグリーンズフリー―のテスト販売を行い、2020年7月から12月にかけて高級スーパー、百貨店、日本ブランドのコンビニエンスストア、オンライン、ゴルフ場、レストランなどで約40万8千缶を販売した。
これを受け、このたび正式に輸出を開始し、中国市場での年間目標を115万缶としている。主にセブン-イレブンなどのコンビニエンスストアや量販店で販売する予定。
中国消費者市場
中国は、白酒やビールの文化で知られているが、健康志向がさらに高まり、若い消費者の間では、ビール離れが進んでいる。
キリンホールディングスのコーポレートコミュニケーション部アシスタントマネージャーのKatsura Muraokaさんは、FoodNavigator-Asia誌に「中国では、健康志向の高まりや、飲酒運転の厳罰化などの社会問題への意識の高まりから、ノンアルコール飲料のニーズが徐々に高まっています」と語っている。
こうした事情にも拘らず、Muraoakaさんは「ノンアルコール飲料を飲む習慣がまだ十分に根付いておらず、中国では消費が限られています。ノンアルコール飲料市場では、日本がアジアをリードしていると言えるでしょう」と付け加えた。
「しかし、今後、中国ではノンアルコール飲料のような高付加価値製品の需要があると考えています。」
グリーンズフリーは、クリアな味と香り、すっきりとした後味で、アルコールが飲めない人でもビール感覚で楽しめるという。
人工香料の規制により、キリンビールがノンアルコール飲料を輸出するのは今回が初めとなる。グリーンズフリーは、人工香料や甘味料を添加していないため、輸出が認められている。
中国では、グリーンズフリーはオンラインでも販売される予定だが、売上に占める割合は少ないと思われ、「新商品なので、まずは実店舗での販売を強化し、市場での認知度を高めていきたい」とMuraoakaさんは語る。
キリンの中国へのメイン輸出品は、主力のアルコール飲料「キリン一番」ブランドである。
「コロナウイルスによるロックダウンやアルコール販売の規制により、世界的に販売数量が伸び悩んでいる中、2020年の中国での販売数量は前年比プラスで成長を続けています。」
国内市場
国内市場では、昨年、キリンはノンアルコールビール製品の売上を引き続き伸ばした。
「コロナウイルス感染症拡大により、友人や同僚とのパーティや懇親会など飲酒の機会が限られていましたが、政府がコロナウイルスを抑制するための自粛要請を行ったことで、健康意識の高まりや家庭での消費の増加により、ノンアルコールビールテイスト製品の販売が前年比105%と好調に推移しました」とMuraoakaさん。
家庭での消費が増え、クラフトビールの需要が高まる中、キリンビールは、クラフトビールの新ブランド「SPRING VALLEY 豊潤」を3月に発売し、すでに年間販売目標の20%を達成している。
好評につき、4月の生産量を30%増産する。
その他の人気商品としては、2020年10月に発売したビール「キリン 一番搾り 糖質ゼロ」が7,200万缶以上を販売している。これは、過去10年間のビール新製品としては、同社史上最速の販売実績。今月は生産量を60%増加させる予定となっている。