1974年創業の北海道で最も古いワイナリーの一つで、年間2,000キロリットルを生産しているが、従業員はわずか81名。
「農園の人手が足りず、除草や農薬散布が十分にできません」と話すのは、北海道ワインの二代目社長の嶌村 公宏さん。
北海道ワインは、ロボット農業の専門家である北海道大学農学研究院の野口 昇教授にコラボレーションを打診した。
ロボット工学
20年以上、農業用ロボットに取り組んできた野口教授は、研究室で開発した技術を使って、ブドウ畑で無人ロボットの実験を行っている。
ロボットには高精度GPSが搭載されており、正確なナビゲーションを可能にしている。ブドウ園では、AIと第五世代移動通信システムにより、ロボットは降水量や散布が必要な場所を検知することができる。
情報に基づき、ブドウに最適な量の農薬や肥料を散布する。「この方法では余分な農薬を使用しないので 環境にも良い。」
また、無人ロボットは完全電動化されているため、ワイン醸造農家にとっては持続可能な選択肢となる。
「まだテスト中ですが、ロボットの自動化により、より効率的な作業が可能になりました」 と嶌村氏はFoodNavigator-Asia誌に語ってくれた。同社は中国、香港、台湾、シンガポールにもワインを輸出している。
北海道ワインは、このロボットを5年以内に商品化したいと考えている。
また、ワインやロボットの開発以外にも、ワイン製造時に発生する副産物をアップサイクルして健康食品を開発する研究を行っている。
不安定な農業
野口教授によると、日本の農業は高齢化と経験豊富な指導者不足に悩まされているという。
「20~30年前にすでにこのような人手不足の課題が解っていたが、今は状況が悪化しています。」
野口教授らのチームは、米や麦、大豆などに農薬や肥料を散布するなどの農作業を行う無人ロボットやトラクターをすでに10台以上開発している。
最近では、トラクター、ロボットハンド、ロボットアーム、熟したカボチャを検出するカメラからなるカボチャ収穫ロボットを開発した。
現在、お茶用のロボットや、大型トラクターの代わりに連携して作業を行う複数の小型ロボットの開発に取り組んでいる。
目下、北海道大学の実験農場と北海道内の農地で実験を行っている。