ポッカサッポロフード&ビバレッジと同志社大学の研究者らは、老化や糖尿病、骨粗しょう症、認知症のリスクファクターである糖化ストレスを軽減する手段を評価する研究を行った。
ポッカレモン100は、防腐剤を添加していない100%濃縮還元レモン果汁。成分はレモンと香料で、賞味期限は9ヵ月となっている。
研究者らは、レモン果汁のクエン酸が糖化ストレスを軽減する可能性があり、老化や疾患の進行防止に寄与する可能性があると示唆した。
この研究は、Glycative Stress Research誌に公表された。
方法論
この小規模研究には、20歳から30歳の健康な12人の被験者が参加した。
介入期間中、被験者は3つのグループに分けられた。A群はサトウ食品工業(株)のパック入り米飯200gを摂取し、B群はレモン果汁15gを摂取した後に米飯200gを摂取、C群はレモン果汁30gを摂取した後に米飯200gを摂取した。
レモン果汁(15g、30g)は水150mLで希釈された。
被験者は、与えられた食品を10分以内に摂取するように指示を受けた。
血糖値は試験食品を摂取する前(0分)、試験開始15分後、30分後、45分後、60分後、90分後、120分後に測定された。
研究者らは血糖値の変化 (ΔBG) を測定。ΔCmaxも測定し、血糖値レベルの最大変化を解析した。
食後血糖値
45分後、 C群はA群と比較して126.8 mg/dLで有意に低い血糖値を認め(143.5 mg/dL)、ΔBGは有意であった (p<0.05)。
B群のΔBGもA群に比べて低かったが、その差は有意ではなかった。
ΔCmaxは、A群:71.3±4.2mg/dL、B群:67.4±4.2mg/dL、C群:56.8±3.6mg/dLであった。C群のΔCmaxは20.3%(-14.5mg/dL)であり、A群に比べて有意に低かった(p<0.05)。
今回の研究では、レモンに含まれる成分が食後の高血糖抑制作用に寄与している可能性があると研究者らは述べており、主にクエン酸とポリフェノールによるものだという。
試験に使用したレモン果汁には、クエン酸が6.3%含まれていた。B群は0.95g、C群は1.9gのクエン酸を摂取したことになる。C群のみ有意な血糖値の低下を記録したことから、米飯200gを摂取した場合の食後高血糖を抑制するためのクエン酸の有効量は1.9gと推定された。
別の研究では、パンを摂食する前にグレープフルーツを摂取することで、食後の高血糖を抑制することができ、同様にクエン酸に起因することが報告されている。
果実に含まれるポリフェノールの α‐グルコシダーゼ阻害作用についても研究されており、レモン果皮抽出物にもその効果が認められている。
潜在的ターゲット
健康な被験者であっても、食後の極端な高血糖状態は、インスリンの過剰分泌につながる糖化ストレスを引き起こし、長期的にはインスリン抵抗性を引き起こす可能性がある。
さらに、3-デオキシグルコソン、グリオキサール、メチルグリオキサールなどの糖化中間体の血中濃度は、食後血糖値の上昇に反応して上昇することがある。血液中のメチルグリオキサールは血管内皮細胞を損傷する。
研究者らは、食後の高血糖の抑制は、組織や臓器の損傷を防ぐのに役立つかもしれないと述べている。
研究者らは、レモン果汁30 gを含む飲料または食品を食前に摂取すると、食後高血糖を抑制することによって糖化ストレスを軽減し、老化および加齢関連疾患の予防に寄与する可能性があることを示唆した。
出典:Glycative Stress Research誌
doi:10.24659/gsr.7.2_174
「レモン果汁と米摂取に対する食後血糖の影響」
著者:Masayuki Yagiら