ローソン理事執行役員兼ヘルスケア事業本部長の小川一誠氏によると、考慮すべき第一の・は、高齢者に向けた万能なアプローチは存在しないということだ。
「高齢者は非常に多様である - 高齢者の要求性とニーズに合うように私たちのサービスを調整する必要がありました」とシンガポールで最近開催されたHealthy Ageing APACサミット2019で講演した。
「日本の高齢化率は現在30%で、これが2060年までに40%に達すると予想されています。 逆に、2050年の人口は9,500万人に達すると予想されますが、2100年までには4,800万人に減少するため、明らかに減少傾向にあります。」
「高齢化に関して対処しなければならない主な課題は、ライフスタイルとパーソナライズトニュートリションです。これに新しいコンセプトであるワンストップヘルスケアショップで取り組んで行こうと考えています。」
ローソンの新しいコンビニエンスストアのコンセプトは、「歓迎の道」を提供することを目的に入口は一つとし、1つの屋根の下に薬局、コンビニと相談窓口の3つのスペースが組み込まれている。
「これは高齢者を対象とした非常にユニークな概念です」と小川氏は語っている。
「栄養士から相談や個別のアドバイスを受けることができるだけでなく、コンビニエンスストア内のおすすめ商品に簡単にアクセスでき、すばやく簡単に購入することができます。」
このような相談は病院でもできるであろうが、はるかに不便であると付け加えた。
「予約をするだけでなく、おすすめの食料品を買うため、余分なエネルギーを費やす必要があります。これはもう必要ありません」と小川氏。
「高齢者は私たちと比べて歩く範囲が狭いという事を、(店舗計画にあたって)慎重に検討する必要があります。」
高齢者向け製品
同氏はまた、高齢者を念頭に店頭に置くため意図的に選択しているいくつかの製品があることを強調した。
「一例として、明治の高カロリー飲料シリーズがあります。これは、バランスの取れていない食事、食欲不振、または食事をする時間が取れない人に適しています。わずか125mlで高レベルのカロリーを提供し、栄養のバランスが最適化されており、手軽で飲みやすいものです。」
もう1つの例は、高齢者向けの靴。同氏は、会社がどのようにして自社製のバージョンを作成しようとし失敗したか、後でもっと特殊なアプローチが必要であることに気付いたことを説明。
各顧客の左右の足に合わせてカスタマイズされた靴のサイズを提供する専門の靴会社徳武産業と提携することによって、ローソンは状況を好転させ、高齢の顧客を引き込むことが出来た。
知恵の言葉
ローソンの長年の試行錯誤からのアドバイスとして、小川氏は、高齢者向けマーケティングで最もよくある間違いの1つは、非効果的に製品に名前を付けたりラベルを付けたりすることであると述べた。
「ラベリングは高齢者に適したものでなければなりません。ほとんどの年金受給者は、自分が老いているとは考えてはおらず、年寄りであると思わせるようなラベリングされた商品は買わないでしょう」と説明した。
「私達が学んだもう一つの間違いは彼らの買い物の目的を勝手に仮定する事でした。すべての子供用アイテムを取り除き、高齢者向けのアイテムを入れることによって、ある店舗を高齢者にアピールするように変えようとしましたが、顧客から孫のために戻すよう言われる結果となりました。これは高齢者のニーズが異なることを示し、自身のためだけでなく家族のためにも買い物をしている事を示しています。」
またコミュニケーションも重要であると付け加えた。大部分の店舗スタッフがより若い世代から来ることを考慮すると、会社は彼らに適切なトレーニングを受けさせることを確実にしなければならない。
「より小さな製品単位も高齢者にとってのもう一つの重要な関心事です - 私たちは常に価格が最も重要な要素であると仮定していましたが、間違です。多くの人が、小さい製品単位を選択して、最高の価値を得る事を好んでいます。」