2019年にAPACの食品業界の成長が期待される3つの新興市場

2019-APAC-3.jpg

アジア太平洋地域の食品および飲料業界の数多くあるビジネス機会の中から、2019年に大きな成長の可能性がある3つの新興市場を紹介します。

インドのオーガニック食品業界

インドにおいてオーガニック食品は比較的新しいものですが、急速に成長している業界です。

The Indian Organic Market: A New Paradigm in Agriculture」((インドのオーガニック市場: 農業における新たなパラダイム)レポートによると、現在のインドのオーガニック市場の規模は5億6300万米ドル(INR40bn)にすぎませんが、今後2年以内に17億ドル(INR120bn)に達すると見込まれています。

インドは、20か国以上に20カテゴリーの300以上の農産物を輸出しています。主な輸出先は、日本、ヨーロッパ、カナダ、西アジア、米国です。

「インドのオーガニック市場は、非常に速いペースで成長しています。インド政府はオーガニックを強く推進しています」とNature Bio Foods Ltdの取締役であるRohan Grover氏は語っています。Nature Bio Foods社は、LT Foods社の出資を受けており、インドで最も人気のあるお米の1つであるDaawatブランドの米を生産しています。

この業界は、複数の規制の枠組みおよびオーガニック農業スキームの形で、多くの政府の支援を受けています。11の州政府が、州独自のオーガニック農業ポリシーを定めています。

シッキム州はさらに一歩進めて、7万5千ヘクタール以上の土地をオーガニック認定農場に切り換え、インドで最初のオーガニック州となっています。メーガーラヤ州も2020年までに、オーガニック州になる目標に取り組んでいます。

[政府の]取り組みは進化を続けており、ラベルやパッケージなどに関する規制も含まれるようになっています。この分野は、インド食品安全基準局(Food Standards and Safety Authority India: FSSAI)この市場の構築を支援してきたものです。新しい製品は、オーガニックであると主張する前に完全な認証を受ける必要があります」とGrover氏は語っています。

FSSAIは、インドのオーガニック製品に対する消費者の信頼を向上するために、オーガニック製品向け国家プログラム(National Programme for Organic Production: NPOP)や参加型保証システム-インド(Participatory Guarantee System-India: PGS-India)などの認証システムを展開しています。

また、オーガニック市場の成長は、一人当たりの購買力を向上することに寄与しており、オーガニック食品の社会経済性、持続可能性、健康上の利点への意識を高めてきています。

「インドのオーガニック市場が、適切な企業を選定し、適切な規制を実施することで、正しい方向に向けて、適切な段階を踏めていると確信しています」とGrover氏は付け加えています。

現在のところ、インドでは270万人が有機農業で働いており、これは世界最多です。

Organic Indiaは、農場にトレーニングと教育の機会を提供して、自己生産を可能にし、今後の世代に伝えていくことが可能な技術を確立することを手助けしています」とOrganic India社の創立者Bharat Mitra氏は述べています。

Organic India社は、2020年までに7040万米ドル(INR5bn)の収益を見込んでおり、Nature Bio Foods社は、「国内および海外事業の[大幅な]拡大」を見込んでいます。

日本でのハラール市場

日本の食品企業は、2020年の東京オリンピックによって引き起こされる需要を見込み、ハラール食品への関心が高まっています。

例えば、日本ハム株式会社は、マレーシアの企業であるLay Hong Bhd社と協力してチームを立ち上げて、ハラール冷凍肉の新たな工場製造を開始しています。

この企業は、マレーシアのプラウインダに拠点を置き、「国内市場だけでなく、中東諸国、シンガポール、日本などの輸出市場の中心となっています」と日本ハムの取締役専務執行役員である大社啓二氏は述べています。

来たる2020年東京オリンピックおよび日本での加工食品需要は、新しい工場を設立する要因となっています。

「日本国内では、高品質で便利な食品の需要の高まりと、2020年東京オリンピックにより、主流の小売業者および食品サービス業者からのハラール食品への強い関心が予想されます。この工場は、見過ごされてきた市場にちょうど間に合いました」と大社氏は語っています。

今年8月、マレーシア政府は、日本貿易振興機構(JETRO)との協力についての覚書にも署名しました。

2016年時点で、マレーシアのハラール製品の日本への輸出は、26億7千万リンギットに達し、2015年に比べ20.8%増加しました。

しかしながら、一部では日本でのハラール市場の見通しに懐疑的な見方もあります。

1つの理由は、日本での認証ガイドラインを監視するための中央管理機関が存在しなかったことにあったと、西日本ハラール協会(Nishi Nippon Halal Association: NNHA)の創立者であるAmmar Jebawi氏は述べています。

「日本の製造業者は、ハラール食品を提供する方法に関する異なる情報が錯綜しており、入手した情報に困惑していると私たちに語っています」

さらに、ハラール食品を準備するのに必要なトレーニングを提供しない認証団体が存在していました。これらの団体は、認証料さえ受け取ればハラール認証を許可していました。  

東南アジアでのパン消費

都市化、購買力の向上、海外旅行により、東南アジア(SEA)諸国の消費者がいよいよ西洋化された食事を取り入れるようになり、パンやピザなどの消費が増大しています。

これは、フランスのパン酵母メーカーであるLesaffre社の分析に基づいています。  

「東南アジア市場全体でパンの消費が毎年5%6%増加しています」とLesaffre社のアジア太平洋地域の取締役Joergen Lundgaard氏は語っています。

 「パン、パン屋、イースト市場として分類する市場は、東南アジアの人口の多い国にあります。これには、フィリピン、タイ、ミャンマー、ベトナム、もちろんインドネシアが含まれます。」

これらの市場の販売実績を明かさないまま、Lesaffre社が「市場成長を上回る売り上げ上昇を達成しており、これは市場シェアを獲得していることを意味しています」と語っています。

また、当社が「各国の上位5社または10社のすべての主な製パン企業」と協力して、ほとんどの東南アジア諸国でパン酵母業界の25%~40%のシェアを獲得していることを付け加えています。 

 「アジア太平洋地域でのパン消費およびそれに伴うイースト消費は比較的低く、この地域で最も高いのはオーストラリアの一人当たり33kgです。フィリピンでは一人当たり12kgに低下し、タイやミャンマーではさらに低い消費量です。」

「しかし、これらの市場でパン消費が増えていくと確信しています。都市化の傾向、中流階級の収入の増加、購買力の向上、旅行の増加、パン製品の増加などが、パン消費に影響を与えていくことでしょう」と述べています。