東南アジア地域の砂糖税の引き上げ
ほとんどのASEAN諸国では、さまざまなレベルでの砂糖税の施行が既に始まっています。そのうちの2か国は、マレーシアとシンガポールです。
マレーシアの財務大臣Lim Guan Eng氏は、慢性疾患への対策として、マレーシアで2019年4月1日より加糖飲料への砂糖税の導入を発表しました。
シンガポールでは、保健省(MOH)も砂糖税の導入だけでなく、ソフトドリンクやエネルギードリンクなどの糖分の多い飲料を全体的に禁止することを真剣に検討していることを明らかにしています。
MOHは、現在世論調査を行っており、この議論は2019年まで続けられる予定です。
Food Industry Asia (FIA)の事務局長Matthew Kovac氏は、砂糖税は慢性疾患の「特効薬」としてみなすべきでなく、他の国の「不確かであいまいな」結果を基にして決定すべきではないと語っています。
プラスチックゴミの禁止はパッケージの決定に影響
中国が2018年にプラスチックゴミの輸入の禁止を導入してから、推定1億1100万メートルトンの廃棄物を移動させることが必要になり、西側諸国が主な移動先の候補に挙げたのはASEAN諸国でした。
これにより、この地域で新たな廃棄物管理の問題が引き起こされ、いくつかのASEAN諸国は独自のプラスチックゴミの禁止を導入することを決定しました。
AusBev社のCEOであるGeoff Parker氏は、「中国の輸入禁止は、[食品および飲料]市場に非常に大きな影響を与えました。
これは、問題を生み出しましたが、業界や政府が協力して代替手段を考え出す良い機会も提供し、[中略]さらには新たな雇用機会を生み出している可能性があります」
「ASEANの禁止法令は、パッケージの決定に関し、特に別の種類のパッケージの採用について、メーカーが別の角度で考えるよう動かすものとなっており、2019年にはいくらかの変化が見られるようになることを確信しています」と述べています。
インドネシアにおけるハラール規制の変更
ハラール食品業界は、巨大なグローバル市場で、2017年には1.3兆米ドルの市場価値に達しており、2023年までには6.1%増大して、1.9兆米ドルに達すると予想されています(出典: Global Islamic Economy Report 2018/19)。
この主要市場はインドネシアで、2018/19年度のトップ消費で1700億米ドルに達しています。2019年に強制ハラール認証を導入することを試みていますが、多くの食品製品が世界各地から供給されているため、大きな課題に直面しています。
「ハラール製品保証に関する [インドネシアの法律 ]により、インドネシア国内に輸入、流通および取引される製品はハラールとして認定される必要があります」とLPPOM MUI(インドネシアのハラール認証団体)のCucu Rina Purwaningrum氏は語っています。
「インドネシア国内に流通され取引される製品に対する [必須の]ハラール認証は、この法律が制定されてから5年目の2019年10月に発行すると見込まれています」
「現在のところ、インドネシア政府は依然として準備段階にあり、この法律の施行に関係するさらなる新しい情報を待っている状態です」
「LPPOM MUIおよびMUIは、[これが施行されるよりも前に、]ハラール認証を従来どおり実行していきます」
「[また、]2019年に、法律第33号に対する対策の準備として、より多くの企業がハラール認証への登録を行うものと予想しています」と付け加えています。
中国が植物油の使用を制限
中国の国家衛生委員会は、食品の安全に関係する36項目の新しい基準を導入しました。具体的には、食品添加物(16)、検査基準(8)、製品(7)、衛生基準(4)、食品の残留農薬の上限(1)に関するものです。
これらのうち28項目は2018年12月より施行され、残りの8項目は2019年に施行される予定です。
これらのうち、注目に値する基準の1つは「国家食品安全基準植物油(GB 2716-2018)」であると、Hangzhou REACH Technology Group (食品業務部)の部長Cathy Yu氏は指摘しています。
2019年末に施行される予定のこの新しい基準では、メーカーが 1) ブレンドに使用した食用植物油の名前を明示すること、2) 使用した植物油の比率を明示することを要求しています。
Yu氏は、「この新しい基準は、基準に達していない植物油および油製品を識別する尺度となることが期待されており、業界がこれにより注意を払うことを求めるものです」
「これが目標とするのは、既存の基準を高めることで、既存の規制に存在する空白部分を埋め、中国での食品安全基準をさらに完成されたものとすることです」と説明しています。
ASEAN食品基準の協調
ASEAN地域内で食品基準を統一する取り組みは数年にわたって進められていますが、効果は限定的なものです。ただし、進展は2019年に具体化されていくことでしょう。
2018年8月、マレーシアの厚生省は、基準および品質に関するASEAN諮問委員会 調理済み食品ワークグループ(ASEAN Consultative Committee on Standards and Quality Prepared Foodstuff Product Working Group: ACCSQ PFPWG)は、栄養表示の統一に関する検討を行っていることを発表しました。
「食品業界は、ACCSQ PFPWGの指導の下での栄養表示の統一化に向けた取り組みによって、食品業界が直面している貿易障壁が低減されることを期待しています」と食品産業アジアの政策担当部長Steven Bartholomeusz氏は語っています。
とは言うものの、専門家たちは変更の過程に決して楽観的ではありません。
「2019年に何ら大きな変化は見られないと思っています。[中略]率直に言って、私はまったく自信がありません」とマヒドン大学の栄養研究所(INMU)のシニアアドバイザーであるAnadi Nitithamyong助教授は語っています。
「規制の統一は、本当に時間のかかる、困難で、骨が折れる作業です。[中略]私にとっての主な課題としては、加盟国からの積極的な参画と国策および規制の統一の重要性に関する認識が挙げられます。
[業界]は、より革新的になり、長期間にわたって、ASEANに強い関心を持ち、継続的に関与していく姿勢が必要です」
持続可能性の取り組みに政府が重要な役割を担う
持続可能なヤシ油を普及させる取り組みでは、ユニリーバ社が管轄アプローチを導入することで、持続可能な製品に対する地元政府および規制管理の重要性を実証する良い例となっています。
管轄区域アプローチは、小自作農家を含め、指定された管轄区域内のすべてのヤシ油プランテーションをRSPO認定にすることを目指して進められました。
ユニリーバ社の持続可能調達部長Petra Meekers博士は、当社がインドネシアの中部カリマンタン州における予備研究を、INOBU、RSPOおよび州政府と協力して進めたことを指摘しています。
Meekers氏は、「管轄区域アプローチではすべてを政府と協力して進めます」と話しています。
「[アチェ州および北スマトラ州への拡張計画では ]、進捗は、当社と地元地域の政府との話し合いがどれほど進められているかにかなり依存しています。」
ユニリーバ社は、今後3年以内に、5000以上のRSPO認定ヤシ油農場を指定することを目指しています。
「政府と協力して地域レベルで能力を構築していくことができます。[選挙サイクルを中心にして ]4年の期間を活用して、[政府の関心を保つ方法 ]および[望む方向に向けて ]政府を動かしていく方法を考慮する必要があります。」
2019年に、ユニリーバ社は、マレーシアのサバ州を目指して、プロジェクトを拡大していくことを目標としています。