単なる流動食を超える:嚥下障害を持つ患者向けの、日本企業による画期的な「嚥下」食品の提供

嚥下食の製造開発における先駆者である日本企業によると、「嚥下」食は高齢者人口が増加する地域を対象として、嚥下障害の患者のために美味さと栄養を兼ねた理想的な食事を提供できるそうだ。

食品における凝集性と付着性のバランスは嚥下食製造のカギだと、ニュートリー株式会社国際事業部の薬剤師のスズキナオミさんは語る。

大半の人は、嚥下食の製造工程は単に食材を細かく刻んだりミンチにしたりするだけだと考えている。

実際には、細かく刻まれた食品やミンチにされた食品により、嚥下障害の患者は窒息する恐れがあると、スズキさんは指摘する。 

細かく刻まれた食品は「口内で膨張しやすく」、「泡が成形されにくい」ため食品は口腔や咽頭に残留する可能性が高いと彼女は説明してくれた。

一方、食品の凝集性が高いと粘着しやすく、食品の残留物が咽頭に残りやすい。

スズキさんは『FoodNavigator-Asia』と『NutraIngredients-Asia』が主催するイベント「Healthy Ageing APACサミット」で、嚥下食の調理法を広めた。

放送されたビデオで、彼女は鮭、出汁、粉末増粘剤を混ぜて鮭の切り身から嚥下食を作る方法を紹介した。

その後、成形物は加熱され、ラップの上に注がれ鮭の切り身の形にまとめられる。

ニュートリー株式会社では、「ソフティア」というブランド名で粉末増粘剤の製造と販売を開始した。「ソフティア」では(1)流動食やピューレ、(2)テクスチャー改良食、(3)お粥やミキサーゼリーのための5種類の粉末増粘剤を売り出している。

同社では、昨年に製造拡大のために工場を開設していて、増粘剤専用の工場を所有する唯一の企業であると、鈴木さんは語った。

現在、商品は韓国、中国、台湾で販売されている。ニュートリー株式会社では、アジア太平洋諸国に事業を展開する予定だ。

昨年、日本では65歳以上の嚥下障害の患者の数は、120万人にまで着実に増えている。10年前では、患者数は786,020人で現在よりも34%も少なかった。

嚥下障害の問題に取り組むために、日本摂食嚥下リハビリテーション学会(JSDR)では、食品をとろみの種類に応じてランク付けする嚥下調整食分類2013を導入した。    

嚥下障害を患うリスクがある人

「食塊を作れず5秒以内で食べ物を飲み込めない」人は嚥下障害を患いやすいと鈴木さんは言う。この場合、食べ物は食道ではなく気管に移動する。

飲み込むのが困難なため、患者は食欲や栄養摂取量の減少や脱水症を患いやすく、窒息の危険性が高くなる。

介護が必要な高齢患者、脳卒中患者、および神経難病、頭頸部癌、重複障害の患者は嚥下障害にかかるリスクが高い。