PHO に含まれているトランス脂肪酸は、飽和脂肪酸以上に有害だと考えられています。
2 社は FoodNavigator-Asia に対して、影響を受ける製品は、主に家庭向けのマーガリンとショートニングだと言いました。
明治の IR 広報部長を務める古田純氏は、同社は 10 点のマーガリン商品で PHO の使用を中止したと述べました。一方、雪印メグミルクは 14 点のマーガリン商品と 1 点のショートニング商品で PHO の使用を中止しました。
これらの商品を区別できるように、明治は「部分水素添加油脂不使用」や「トランス脂肪酸の低減」などと記載されたロゴを商品に付与しています。
一方でメグミルクは、同社の主力商品である「ネオソフト」(スプレッド)では、トランス脂肪酸を低減させた結果、商品 10g 中のトランス脂肪酸含有量が 0.08g になると述べています。同社は減少率については言及を避けました。
同社は、PHO の除去と飽和脂肪酸量の維持に成功したことを付け加えました。たとえば、「ネオソフト」の飽和脂肪酸含有量は 10g あたり 2.4g です。
両社は、今回の対応は FDA および WHO の規制や勧告に応じたものだと述べています。
先月、WHO は各国政府に対して、2023 年までに食品から工業生産されたトランス脂肪酸を根絶するよう呼びかけました。
一方で、2015 年に米 FDA は PHO が GRAS(一般に安全と認められる)食品原料のリストから削除されると公表。今年の 6 月 18 日以降、メーカーは申請なしで PHO を商品に含めることはできなくなると述べました。
しかし、業界が混乱なく移行できるように、FDA は無申請使用の PHO で製造した食品のコンプライアンスの日程を 6 月 18 日から 2020 年 1 月 1 日に延長しています。
マーガリンの売上の下落
メグミルクは、FDA の公表以来、日本のメディアは PHO の使用について広く報道し、マーガリンにはトランス脂肪酸が多く含まれているというイメージが形成されたと述べています。
その結果、マーガリンタイプの商品の需要が落ち込みました。
ユーロモニターによると、現在の小売価値で日本のバターとマーガリンの売上は昨年比 4% 減少し、839 億円となりました。
「予測期間において日本のバターとマーガリンの売上は減少を続け、2017 年の CAGR は -2% となり、2022 年には 752 億円になると見込まれる」とユーロモニターは報告しています。
売上の下落を考慮して、メグミルクはマーガリン商品を見直し、商品から PHO を削減することを決めました。
また明治は、日本の消費者は食品内のトランス脂肪酸に対してとても敏感であると述べています。
「日本のトランス脂肪酸の摂取量は欧州や米国に比べて極めて低いにもかかわらず、日本のトランス脂肪酸の認識率は 80% 以上にものぼり、消費者は高い関心を持っています」
両社は、PHO を削減しても商品の味や食感に影響はなく、「従来の商品とほぼ同じ」と述べています。