埼玉県伊奈町では、地域の保健サービスの一環として、年1回の健康診断のほか、健康促進プログラムを実施しています。
本プログラムの一環として、7年生(12才~13才)を対象にアンケート調査や身体検査を実施しました。
報告によると、思春期の少女の場合、夕食を一人で取る「個食」は不健康な食習慣になりやすく、肥満につながるという結果が明らかになりました。
研究者は、これまでの研究から、家族で取る食事には、肥満や不健康な食習慣、摂食障害などの問題を含む栄養的健康問題を防ぐ効果があると報告しています。
家族で一緒に食事を取る場合は、バランスの取れた栄養価の高い献立を選ぶ可能性が高いのに対し、青少年が一人で食事を取る場合は、パック済みの便利な食事を選びがちで、果物や野菜も不足しがちだとするFeldman et al の研究結果を引用しました。
顕著な男女差
一方、最新の研究によると、思春期の男子の場合は、一人で食事を取ることと肥満に顕著な関係性が確認できず、男女にはっきりとした差が見られることがわかりました。
過去の調査では、女子の場合は、常に家族と食べるケースと一人で食べることが多いケースとでは、魚と野菜の摂取量に違いがあるという結果も出ています。
また、男子の場合は、食事の習慣の違いによって摂取食品には差がありませんでした。
一つ特筆すべき点があるとすれば、日本の母親は、男子には食事の準備をするのに対して、女子には自分で料理するよう促すことが多いということです。
つまり、思春期の子どもが一人で夕食を取る場合、男子は母親の料理を食べ、女子は自分の好きな料理を作るため、不健康な食事になりやすいと報告書では結論づけています。
最後に、本研究では、満腹になるまで食べるという回答者の割合は、誰かと食事を取る少女よりも一人で食べる少女の方が非常に高いことも明らかになりました。これも、肥満に関連する要因の一つです。
今回の研究では、回答者の年齢や出身が限られているなど、いくつかの制限も見られました。
しかし、健全な食習慣を促し、思春期の少女の肥満を防ぐには、一人で夕食を取る「個食」の頻度を減らすことが重要だと研究者は結論づけています。
出典:BMC Pediatrics
DOI:doi.org/10.1186/s12887-018-1041-y
「日本の青少年の肥満における個食の影響:横断研究」
著者:Takako Shirasawa, Hirotaka Ochiai, Takahiko Yoshimoto, Masaaki Matoba, Yuma Sunaga, Hiromi Hoshino and Akatsuki Kokaze.